雑草のはなし15「野生のアズキ」

2019年10月のこと

ちょっと前の話です。秋晴れの中、事務所の近所を散歩してきました。何か目的がないとつまらないので、実に味気ないのですが‥消費増税で値上がりしたはがきの差額分の切手を買いに行くことにしました。それにもう1つおまけを付けて足元の雑草観察をしてきました。

この時期はあちこちにヒガンバナが咲いていたり、種子を付けている雑草も多く、観察しがいのある散歩となりました。もちろん、平日の午後に歩いている人はほぼいない(特に地方は)ので、完全に怪しい人になっているのはいつものことでした。

ヤブツルアズキ

接写で雑草の花や種子を撮影しながら、遠回りで郵便局を目指したのですが、途中の砂利道でマメを見つけました。正確には、アズキでした。そして、ちゃんと書くとヤブツルアズキというアズキの祖先とされる雑草でした。

つる上の茎に細長いさやがたくさん付いていて、畑に生えていたら作物にしか見えない感じです。黒くなっているサヤが熟した証拠で、ちょっと触ると中の種子がはじけ飛ぶしかけになっています。

最初、面白くてサヤをはじけさせていたのですが、たくさんの個体を見ているうちに収穫したくなり、郵便局横のローソンに駆け込んだのでした。

大学の頃、実験に使用する雑草の種子を野外で採取していたので、その名残かもしれないし、「狩る」、「収穫する」という人間の根源的な何かが湧き出たせいかもしれません。ともかく、ローソンでチャック付きの袋をわざわざ購入したのでした。

切手は買えず‥

そして、種子を集める前に切手を買っておこうと思ったら、何と同じことを考えていた人がたくさんいたらしく、1円(値上げ分)切手が完売とのことでした。明日には入荷すると、郵便局の方に謝られ、消費増税の2%以上に、それぞれがムダな労力を使わされていることに気付きました。

買い物といっても、手元のはがき10枚×1円=10円分の切手なのでした。それを買うために雑草を観察しながら1時間かけて郵便局を訪ね、しかも買えないというこのモヤモヤした感じは、総理大臣にも、財務大臣にも分からないだろうと思います。

種子集め

それは仕方ないとして、買ったばかりの袋にヤブツルアズキのサヤごと、採っては入れ、また採っては入れたのでした。わざわざ熟しているよとサヤが黒変して教えてくれているので、獲物を狙う人間(自分のこと)は、そればかりを袋に詰め、何の世話もしていないヤブツルアズキからどんどん種子を奪うのでした。

ちょっと申し訳ないという気持ちもあり、同時に濡れ手にアワ(今回はマメだけど)という言葉が浮かんできて、きっと世の中で稼いでいる人はこんな気分なんだろうと勝手な想像を膨らませていました。

約1時間近く収穫し、太陽が出ている平日にこんなことをしていていいものかと思いつつ、満足感に浸りながら戻ってきました。途中、軽トラックの年配の方に何をしているのか聞かれ、あやふやと返答して解放されました。

その方がカメラを持っていたので、何か生き物好きなのかと思って逆に質問してみたら、田んぼの土手が崩れたのでその写真を撮っていたとのことで、全く数寄者、好事家ではありませんでした。業者に頼むと結構お金がかかる‥という現実的な会話でお別れしました。

帰途、「さようなら」と声をかけてくれた小学生の自転車が消えていく姿を見守りつつ、袋にはヤブツルアズキを抱えていたのでした。そして、同じく「さようなら」と返し、心の中で「こういう人生もあるんだよ」声をかけたのでした。

後はサヤとマメを分離するだけの作業です。

今のところ、ヤブツルアズキは持ち帰っても非課税のようです。

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