雑草のはなし36「逮捕される雑草」

要注意な黄色の花

キク科のオオキンケイギクについて書いてみます。ただ、この名前を聞いても頭に画が浮かばないと思います。百聞は一見に如かずなので、まずは以下の写真を見てください。

ここで「ああ」と思った方も多いと思います。それだけ、各地でよく見かけるようになりました。ただ、こちらの雑草‥要注意の雑草です。

法律×雑草

オオキンケイギクに毒やトゲがある訳ではないのですが、環境省によって特定外来生物に指定されています。「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」という長い名称の法律によるものです。

特定外来生物は、栽培や運搬、保管などが禁止されており、個人が違反すると「懲役1年以下、または100万円以下の罰金」が科せられるということになっています。例えば、根ごと採取して別の場所に移植すると罰則の対象となりますが、花を切って花瓶に挿す分には大丈夫です。

近所を散歩していたら黄色い花がキレイなので、わざわざ残している場所が多くありました。正直なところ、それが一般的な反応だと思いますが、法律に記載されているため、国としては伐採・駆除という方針になっています。そのため、何も知らないと、雑草との関り方次第でとんでもないことになります。

この法律では雑草以外に魚類としてブルーギルやオオクチバス、爬虫類としてカミツキガメなどが指定されています。昔、ブルーギルは、簡単に釣れるのでよく釣っていたのですが‥今や法律に関わる存在となってしまいました。

よく考えてみる

法律でダメと言っているので、オオキンケイギクはダメな植物と結論付けてしまえば早いのですが、何となくしっくりとこない面があります。注意喚起するほどの雑草なのかどうか、正直、疑問が残ります。

例えば、アヘンの原料となる一部のケシは問題かもしれません。同じく、大麻の原料となる麻も問題だろうと思います。ただ、麻については繊維が活用できる有用植物の一面もあります。

一方のオオキンケイギクですが、もともとは人間が観賞用や緑化用に外部から持ち込んだものです。植物自体が悪いというよりは、人間の都合でこのようになっています。

環境省の九州地方環境事務所のホームページの記載を読むと、様々な植物が存在する中にオオキンケイギクが侵入すると、「旺盛な繁殖力でほかの植物の生育場所を奪ってしまう。餌にしていた植物が無くなると動物もいなくなる可能性もある」とイラスト入りの説明があります。

だいぶ遠回しの表現に感じますが、「可能性もある」程度の表現が妥当なところだと思います。実際、野外を歩いてみれば、オオキンケイギクが他の植物の生育場所を奪った光景を見たことがないし、動物(昆虫も?)が減ったり増えたりしているように思えないからです。

少なくても、個人的に数年単位で観察している場所では、毎年同じ場所にオオキンケイギクが生えていますが、生育範囲は広がっていません。よっぽど、メヒシバやシロザの方が繁茂している印象です。

雑草の毀誉褒貶

繰り返しになりますが、オオキンケイギクやブラックバスのような動植物の大半は人間が持ち込んでいる訳で、こういう問題は鎖国でもしない限り年々増加していくと思います。

特定外来種という名称から、オオキンケイギクがいかにも危ないという印象を受けますが、単一の雑草が地上を全て覆うことはありません。実際には、様々な雑草が競い合いながら生育しています。それが現実です。

ただ、英国ではイタドリが、アメリカではクズが過剰に繁茂して問題となっているように、場所と条件によって雑草害が生じることがあります。日本だと、オオキンケイギクよりも、水路を塞ぐことで、通水障害の原因になっているナガエツルノゲイトウの方が厄介な気がしています。

そのような訳で、特定外来種の雑草の顔ぶれが妥当かどうかはもう少し冷静に考えてもいい気がしています。毀誉褒貶(褒めたりけなしたり)は世の中の常なので、もしかしたら数年先は評価が変わっているかもしれません。

雑草は、人間の都合によって光にも陰にもなるということを改めて感じました。

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