雑草のはなし18「みたび野生のアズキ」

雑草と作物

雑草のはなし16「野生のアズキふたたび」の続編です。
アズキの話が続きます。採取したヤブツルアズキの種子をジャラジャラといじりながら、あれこれと考えていました。

ヤブツルアズキは「アズキ」という名前が入っている通り、アズキの祖先というか野生種と考えられている雑草です。ツル性で他の草にからまったりします。

一方、作物として育てられているアズキは茎で直立します。自分自身で、アズキを育ててちゃんと経験したことを書きたいところですが、アズキについては本の知識しかありません。

ちなみに、ヤブツルアズキの雑草らしい特徴は、サヤが熟すと勝手にはじけて中身の種子が飛散するところだと思います。この性質は多くの雑草に共通していて、種子は風や動物の力も借りますが、勝手に広がっていきます。

一方の作物では、種子が落ちにくいのが特徴です。イネを思い浮かべてもらうと分かると思うのですが、黄金色に熟しても種子(コメ)はちゃんと穂に付いたままです。人は植物の生産した実を食べるので、勝手に落ちないように品種改良されています。

種子の大きさ

採取したヤブツルアズキを作物のアズキと比較すると、とても小さいです。1回の収穫に同じ時間をかけたとすれば、得られる種子の重さは半分以下だろうと思います。「重さ=食べられる量」なので、効率は非常に悪いです。しかも、先述したように勝手にはじけます。

参考:作物のアズキ

何でこんなことを書いていたかというと、作物のように育てて販売したらどうかと考えていたからでした。世の中には物好きな方がいるようで、ヤブツルアズキをあんこにすれば、ちゃんと食べられるそうです。

恐らくアズキの0.1%ほども流通していないヤブツルアズキを使用した和菓子があれば、話題になるかと思うのですが、いざ生産を考えると沈黙してしまいます(手間がかかり過ぎる)。そして、単に珍しいからという理由での栽培はあまり持続しない気がしています。

「美味しい」ということであればまた話は別なのですが、単価は最高級アズキの何倍かになると思います。とは言え、無いモノが欲しくなるのが人の性なので一定の需要は作れるかもしれません。

‥と、雑草ひとつひとつについて、深く考えたりするときがあります。大半は頭の中での実験で終わってしまうのですが、そのうち何か当たりが引けるんじゃないかと思っています。

おまけ

最後に、ダイズの祖先と言われているツルマメの写真を掲載します。こちらも、作物のダイズと比較して極小ですが一面に広がっていました。

野生の畑?みたいなものですが、わざわざ採取して食べる人もいないため、当然のごとく邪魔者として刈られてしまいます。

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