雑草のはなし31「カヤツリグサ科で緑化実験」

雑草で緑化する

雑草のはなし28でも書いたのですが、緑化に使えそうな雑草を探していました(2020年の話です)。緑化というと、王道は芝生に代表されるイネ科なのですが、あえてちょっと違う視点でカヤツリグサ科に注目して探していました。

そんな都合のいい雑草がすぐ見つかれば苦労はしないのですが、近所を散歩していて気になる個体を見つけました。意識して足元を観察していると意外な出会いがあるようです。そして、雑草の観察に限らず「意識」することで、見える世界はだいぶ変わるようです。

非常に地味なカヤツリグサ科の写真ですが、それぞれの大きさや生育している場所などの情報込みで観察すると、とても面白いです。

ただ、カヤツリグサ科の判別は非常に難しいので、名前については、あまり触れないで先に話を進めます。

今の時期(1月)は、一部の春雑草(冬を越して春に大きくなる)がわずかに緑色になっているだけで、あとは枯野なのですが、その個体は緑色をしていました。

今年は暖冬とは言え、この時期で青々としている点は大きいかと思いました。ちなみに、冬でも緑色のまま=耐寒性がある=きれいな景観を維持できるということになります。

その個体は、道路横の花壇のようなところにひっそりと生えていました。実は、そこそこ前に見つけていたのですが、天気が悪いとか寒いとか、人間側の都合で今日の採取となりました。

とりあえず採取から

道路の横だったので、もし誰かに採られたらどうしようとムダな心配をしていたのですが、誰にも気付かれず相変わらずひっそりと生えていました。むしろ、そんな場所でしゃがみこんでいる人間(自分のこと)の方がよっぽど怪しかったかもしれません‥。

持参した小さなスコップで簡単に採取できるかと思ったら、なんとスコップが曲がってしまいました。100円ショップで買ったせいもあると思うのですが、想像以上に根が強く、それはそれで緑化に好都合でした(土の飛散を抑えるので)。

どうにかこうにか、くり抜くようにして採取しました。

その後、付いていた土を落としながら観察をしたのですが、根の張りが非常に良かったです。また、生育していた土はあまり栄養がなさそうだったので、貧栄養下でも成長が期待できそうでした。

移植作業

このまま植木鉢に植えるには大き過ぎたので、個体を手で割き、5つの鉢に分家しました。密集していたので、外観からはよく分からないのですが、どうも1つの個体ではなくて、いくつかの個体がまとまっているようでした。

野外に生えている個体は環境や土壌などの様々な影響があって、実際に使えるかどうか判断が難しかったりします。そういうこともあって、比較的均一な条件の植木鉢に移しました。これから、各個体がどんな風に成長していくかを観察していきます。

理想としては、このまま横に成長して、植木鉢の地表を覆ってくれたら最高なのですが‥植物はより光を受けようとして上に伸びるのが普通です。

でも、中には普通じゃない個体もあるので、それを見つけて活用するのが育種の醍醐味かもしれません。

想定外が面白い

この手の分野は、予想通りに進まないからこそ面白いと思っておかないと失敗の連続なので、期待し過ぎず、気長に観察と探索を続けていきたいと思います。とりあえず、1か月もすればある程度の目星は付きそうです。

今のところ、まだ6鉢だけですが、この手の試験は、100鉢単位で調べないといけないので、量の勝負になります。それでも、方向性さえ決めてしまえばポケモンと同じく集めるだけなので、単純作業となります。

強いて言えば、勘(どのように成長するかを見極める)と運があれば最高です。実験が成功するかどうかは、非科学的かもしれませんが、理屈を超えたところにある気がしています。

必ずしも本や、常識通りにいかないということろが面白い部分だと思います。

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