雑草のはなし25「雑草防除懇話会」
会合に参加
もう1年前ですが‥2019年12月7日に仙台で「雑草防除懇話会」という会合があり、参加させて頂きました。文字通り雑草に関する会合で、山形県の農業試験場に勤務されていた大場さんのお話を聞くことができました。
有機農業と雑草の研究をご紹介頂いたのですが、非常に実践的なお話しで興味深く聞かせて頂きました。雑草対策は、理論も大事ですがまずは現場で役立たないと意味が無いので、有機農業を地に足着いたかたちで考えるきっかけになりました。
雑草をどう管理するか?
では、除草剤を使用せずに水田の雑草をどう管理するかというと‥
①除草機械
②紙マルチ(紙で覆う)
③生物の利用(鯉、アイガモ)
④深水管理(水深を高く保つ)
⑤濁水管理(水が濁れば雑草に光が届かない)
⑥米ぬか処理
と、なるようです。
当然、それぞれに課題があります。
除草剤と比較して雑草の抑制効果が低い上に、費用がかかる、作業できる面積が限定的、手間がかかるとのことでした。
効率を重視すれば、やはり除草剤という選択肢が一番いいようです。
どうしても有機栽培を行うのであれば、オススメは機械の使用くらいでしょうか。
それでも機械は高額だし、雑草は日々成長するしで大変かもしれません。やはり、雑草はそれほど甘くないというのが実感です。
いくら有機農業をやりたいと言っても体をダメにしては元も子もないので、現実的に可能かどうか、ちょっと立ち止まって考える必要がありそうです。
視点‥1つ目
こう書くと何の希望も無いみたいですが、講演された大場さんが面白い指摘をされていました。
1つ目は、「(水の)濁りがカギ」ということでした。
全て一律とはいかないまでも、実際に雑草の生えにくい水田があるそうです。
その水田の特徴として、有機物?の層があり、その層によって雑草が抑制されているそうです。
また、水を濁し続けることができれば、雑草の抑制も期待できるとのことでした。24時間動き続けるロボットが水面を濁し続けるのか、それとも化学を応用して水を濁らせるのか‥まだ新技術の余地があるかもしれません。
視点‥2つ目
2つ目は、「品種改良」です。
今はあくまでも除草剤を使用した農業に適した品種になっているので、例えば葉が水面を覆うようなイネを育種して、雑草に届く光を抑制するという発想です。これは、非常に面白いと感じました。
我々が今食べている米にしろ野菜は、日々育種されて変化し続けていてます。だから、同じ作物でも江戸や明治の頃とは全く違っているはずです。昔のイネがどんな姿かたちをしていたのかは、想像するしかないのですが、もしかしたら今とは別ものだったのかもしれません。
技術は日進月歩のようで、実は3歩進んで2歩下がるようなもの(人生は短く、全ての知恵が引き継がれる訳ではない)なので、時間はかかるかもしれません。それでも、大場さんのお話を伺い、今後、新しい雑草の管理技術が出てくるだろうという希望を抱くことができました。
まとめ
有機農業に限った話ではありませんが、作物を育てるために、雑草管理は必須となります。
慣行栽培には除草剤がありますが、有機農業の雑草管理については正直なところ、これという決定打が無い気がしています。
このため、先述した2つの視点が、より具体的な技術として世の中に現れることに期待したいと思います。