雑草のはなし2「イタドリを食べてみる」
イタドリを探す
前回、ご紹介した有川浩著『植物図鑑』で興味を持ったイタドリを食べてみました。今年(2019年)の5月19日のことでした。宮城県山元町の事務所周辺を散歩しながらイタドリを探しました。なぜかイタドリは川の土手に多く、結構まとまって生えています。
宮城ではイタドリを食べる風習は(恐らく)無いので、周囲の目を意識しながらの採取でした。ただでさえイタドリに対する認識はほぼ無いし、まして雑草=刈るという存在なので、雑草を収穫している姿は完全に浮いていました。
多少世間体を気にしながら収穫をしていたのですが、こちらが思っているほど周囲はこちらを見てないことに気付いたので、最後は楽しみながら収穫してきました。
ただ、人生初の収穫だったので、どの状態のイタドリが美味いのかまでは分からず、何となく柔らかそうなところを集めてみました。1本、1本ハサミで切ってきました。雑草を刈るんじゃなくて、狩ってきました(あまり勇壮な感じはありませんが)。
イタドリの下ごしらえ
その後、イタドリの赤っぽい表皮を剥ぐと翡翠色の本体が現れました。
ぱっと見はフキのような感じでした。皮を剥いてみると、硬い個体と柔らかい個体がよく分かり、硬そうな部分は捨ててしまいました。いかに作物が効率よく食べられて便利な存在かを痛感する作業でした。
ようやく剥き終えたイタドリを熱湯でさっと茹でて、後は冷水に浸し、時折水を交換しながら一昼夜置きました。あく抜きの作業でした。茹でたてを少しかじったら酸味がありました。シュウ酸が原因で、食べ過ぎは体によくないみたいです。
それと、茹で過ぎるとイタドリの魅力であるシャキシャキとした歯ごたえがなくなるので、火を通し過ぎないことがコツらしいです(ネットで調べました)。
ここまで‥生息地を探す→収穫→葉を落とす→茎の皮を剥ぐ→硬い部分は取り除く→熱湯でさっと湯がく→冷水に浸す→たまに水を交換するという作業でした。
ここまで約4時間。コンビニで出来合いのお惣菜を買えば数秒。食べることの本質を考えさせられたのですが、こういう経験は教育の一環として活用できるかもしれません。
ようやく料理に
そして翌日(1食のために、1昼夜経過)。酸味がほどよく抜けたイタドリを豚肉と一緒にさっと炒めて、めんつゆで味を付け、上にゴマを散らしてイタドリの炒め物が完成したのでした。
食感はシャキシャキ。強いクセは無く、青臭さも無く、とにかくシャキシャキ。肝心の味は、粗にして野だが卑ではない(粗暴でも卑しくない)レベルかと思っていたら、普通に美味しかったです。
‥わずか1食にこれだけの時間をかけてみるのも、ある意味贅沢なことなのかもしれません。そして、太古のひとびとは生きるための食料集めにひたすら時間を費やしていたはずなので、いかに今の時代が恵まれているかがよく分かりました。